伊丹敬之、加護野忠男『ゼミナール 経営学入門』(日本経済新聞社、第3版、2003)演習問題解答例

ホーム

第13章 経営理念と組織文化

1.
 経営理念が、社長室の額の中だけにある企業と、人々の心の中にも浸透している企業との差は、経営者がその理念を真剣に追求しているかどうかにある。経営者自身が建前だと思って真剣に理念を語らなかったり、理念に反した行動をしたりすると、人々の心の中には浸透しない。

2.
 文化がなければたくさんのことを言語化しなければならず、コミュニケーションに多大なコストを要する。固定されたメンバーが一定期間同じ集団の中で過ごすと、このコストを下げるために、暗黙の前提のような文化が形成される。このように、組織文化はコミュニケーションのコストを下げるために自然にできてしまう。

3.
 銀行の社員は硬く、証券会社の社員は柔らかいというタイプの違いがあると言われている。銀行の組織文化は、きちんと返してくれるところにお金を貸し、計算を間違わないといった硬いもので、証券会社の組織文化は儲けることができれば何をしてもよいというような柔らかいものであると思われる。一度このような組織文化の違いが出来上がると、それに応じたタイプの人がそれぞれの会社に行くことにより、組織文化が再強化されることもある。

 

作成:浅野直樹
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このサイトの内容は、クレジットを表示し、それをもとに作成された新しい作品が元の作品と同様の条件で提供される限りは、改変や商用利用も含めてご自由にお使いいただけます。
記載が不正確であったことなどにより損害が生じた場合の責任は負いません。
間違いなどを発見した場合はお問い合わせからお知らせいただけるとありがたいです。